坂本組ブログ

木造での高層ビル構想 建築可能か

 立春も過ぎ 梅の花も咲き出し 暦の上では春です。
でも まだ 寒い日が続いています。
如何お過ごしですか?
建築部 松本です。

 ”木造建築” という ワードに対して どのようなイメージを お持ちでしょうか?
恐らく 木材は一軒家を建てる時や、社寺建築の改修などに用いられ、
中高層ビルには、鉄筋やコンクリートが使用される と、いう認識が、一般的と思います。
しかし、近年欧米を中心に木造の高層ビルが、トレンドになっていることを、
ご存知でしょうか?
 今回は、今後日本の建築業界のトレンド の一つになり得る 木造中高層建築 について
社会的背景 や メリット 実況に向けて動き出している実例などを、紹介したいと思います。

 日本は、国土面積の約66%が森林で覆われている 世界でも有数の森林国であり、
森林資源の観点や、日本人も木を好む傾向からも、日本は木造建築と相性がいい国 と
言えます。過去には、世界最古の木造建築である法隆寺をはじめ、
日本全国の社寺仏閣に代表されるように、かつて日本は世界最高峰の高層建築の技術
誇っていました。
 しかし、近代工業化以降 現代まで、鉄骨造 や 鉄筋コンクリート造 の
建築割合が増えてきており、高層ビルを建てる際には、これらの
工法で建設されるのが、一般的でした。


1.高層木造建築が注目を集め始めている理由
 a. 新しい木造技術 ”CLT” の普及
  木造ビルを建てる場合に、一番懸念材料となるのが、コンクリート や 鉄筋
 の建築物と比べての 耐震性 や 耐火性 でした。
 これらの課題を解決する新しい木造建築材として、注目されているのが、”CLT” です。
 CLT とは、板(ひき板)を貼り合わせた集成材で、木材を縦と横に交互に
 重ねることによって、強度と耐久性を上げていきます。
  ヨーロッパでは、既に中高層建築物 や 大規模建築物などに
 採用されるなど、急速に CLT の生産が増加しています。
 欧米と比較すると、日本では 知名度や普及率は低いものの
 CLT 自体に耐震性能があり、”震度7” の地震にも耐える実験や
 火災に対しても長時間の耐火が証明されるなど、
 CLT は、日本の建築業態を変える新素材として、注目されています。
  建築基準法では、特に防火地域などで、5階以上の建築に木材を用いる場合、
 ”2時間耐火構造” にする必要があります。
 中高層ビルでは、上層階からの避難に 時間を要する為 その時間を稼ぐ為に
 このような、要件が定められています。
 が、CLT は この要件をクリアし、かつ 耐震性・耐火性 が高まることで
 木造中高層建築が、普及してきている理由の一つと、言えるでしょう

 b. 法律の緩和による木材活用の潮流
  もう一つが、日本の法律の緩和です。
 2010年に 「公共建築物等に於ける木材利用の促進に関する法律」が
 成立しました。
 この法律は、木造率が低い 低層の公共の建築物にターゲットを絞って、
 国が率先して木材利用に 取り組むと共に、地方公共団体 や 民間事業者にも
 国の方針に即して 主体的な取り組みを促し 木材全体の需要を拡大すること を
 ねらいとしています。

 (思えば、最近新築した 新国立競技場 や 平塚市役所 には、
 木材がふんだんに使われている 理由が分かります。) 

2.CLT工法を用いるメリット
 a. 森林資源の活用
  日本は、森林資源の豊富な国です。
 森林保全の為にも、木材を適度に伐採する必要がある為、木材に対して
 一定の需要が求められます。
 CLT は、一般的に建材として 不向きな木材でも活用することが 出来る為
 大量の木材の使用が期待出来ます。
  それによって、国内林業の活性化にもつながる為 国をあげて 建築への
 木造利用を推進していきたい と、考えられています。
 b. 工期の短縮
  木材は、鉄やコンクリートに比べると 軽い という特徴があります。
 その為 施工がシンプルになり、工数 や 人件費 が減らせるため
 結果として、躯体工事などの費用を削減できる 可能性があります。
 c.環境や気候変動に対抗出来る
  現在の主要な素材である鉄やコンクリートは、製造に多くのエネルギーを使い
 また、硬化の時には 化学反応で大量のCO2 が大気中に排出されます。
 一方、木材は生木の時に光合成により CO2 を吸収します。
 このように、木造建築を取り入れることは、環境保全の面からも
 メリットが大きいと、考えられています。


3.日本で計画されている木造超高層建築の事例
 a.国内最大:最高層の木造高層建築物(三井不動産・竹中工務店)
  三井不動産 と 竹中工務店 は、日本橋での賃貸オフィスビルを
 2025年竣工目指して 計画中です。
 こちらの建物は、木造ハイブリット建築で 地上17階、高さ約70mを
 計画しており 完成すると、現存する木造高層建築物としては、
 国内最大・最高層になります。
  同規模の一般的な鉄骨造オフィスビルとの比較で、約20%のCO2 
 削減効果が期待できます。

 b.地上70階の木造超高層建築の開発構想(住友林業)
  住友林業は、2041年(18年後)を目標に 地上70階建、高さ350m(東京タワー 333m)
 の木造超高層建築ビルの 実現を目指しています。

 森のような建築物を目指す こちらの建築物は、木鋼ハイブリッド構造 を検討していますが、
 木:鉄 = 9:1 と 木材の比率が9割を占めています。
  現在は、国内で最も高いビルが、高さ約300mの ”あべのハルカス” であることを
 考えると、実現すれば 日本が木造高層建築に於いて
 世界をリードする国になるかもしれません。

 今のうちに 株 買っておけば、化けるかも。
  (最近では、スカイマーク:136倍、出前館:77倍 のように。)

 (トルコ の国旗)
”オヤジの呟き” をちょっと
トルコ南東部で大地震が発生
 2月6日 トルコ南東部にて、マグニチュード7.8 の 地震が発生しました。
また、その後M7.5の地震を含む余震も多く 発生しています。
震源が浅い直下型地震であることに加え 建物の耐震性の低さや、地震発生時が
未明だったことから、多数の死傷者を含む 大きな被害が出ています。
トルコと日本との今までの深い交流の絆を思うと、
今回のような災害が生じてしまったことは、残念でなりません。
この地震により亡くなられた方々にお悔やみ申し上げます。
また、被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます と共に
より多くの方が救われ、一刻も早く 平穏な日常を取り戻されるよう
お祈り申し上げます。

 日本とトルコは、あまり関わりがないように、感じる方もいるかもしれません。
ところが、トルコは 親日国家と言われており、日本とは歴史的交流が深い国です。

東日本大震災でのトルコの援助
 2011年3月11日 に発生した ”東日本大震災” では、多くの国から援助物資が届けられました。
中でも、トルコからの支援は、手厚いものでした。
32名の援助隊に 18.5tの飲料水。 さらに、豆やツナなどの缶詰が68,800個。そして
約5,000枚の毛布が届けられたのです。
その上 義援金として1,600万リラ(1トルコリラ =7.05円)と、
ニューヨークのトルコ コミュニティーから 30,000ドル(1米$ =133.15円)
も、寄付されました。
その他にも トルコ大使館では、トルコの高価な工芸品を
集めての チャリティーバザー が開かれました。

イラン・イラク戦争での日本人救出
 事件が起こったのは、1985年のことでした。当時イラクの大統領だった
サダム・フセインは、「イラク上空を飛ぶ航空機の全てを 48時間後に 撃ち落とす。」
と、いう恐ろしい宣言をしたのです。
航空機の全てとは、外国籍の旅客機も含まれる ことになります。
イラク国内に滞在する全ての外国人は、帰国が出来ないことで、パニックに陥りました。
この時 多くの国では、救援機を派遣して 自国民の救出に あたりました。
 ところが、日本人だけが、テヘラン空港に取り残されて しまいます。
理由は、憲法違反を危惧した日本政府が、自衛隊機(政府専用機)での救助を
出来ずにいたからです。(1985年当時 内閣総理大臣 中曽根康弘)
他国の人々は、次々と救出される中、216名の日本人だけが、テヘラン空港に
取り残されます。タイムリミットが近づく中 1機の救援機が、テヘラン空港に
着陸しました。それは、トルコ航空でした。
トルコもイラクに自国民が、残っていましたが 自国民でなく 日本人の救出を
優先したのです。そして 無事に日本へ脱出し、全員が無事に帰国を果たす
ことが 出来ました。
 この時 イラク国内に残っていたトルコ人は、500名で救援機に
同乗することは無理だったのです。残されたトルコ人は、陸路でイラクを
脱出しました。自国民を置いて 日本人を救出することは、通常であれば、
非難の対象となっても、おかしくありません。
しかし、この行動は ”エルトゥールル号 での恩返し” と言われ、
非難する者は、いなかったとされています。

エルトゥールル号遭難事件
 エルトゥールル号遭難事件 は、1890年に、和歌山県串本町の沖合で沈没したトルコ船の
乗組員を現地の日本人が、献身的に救助した出来事です。
トルコが親日国家になったきっかけと言われています。
エルトゥールル号(600名を超える特使が乗船)が、日本での責務を終え、帰路に就くタイミング
でした。日本に近づいていた台風の影響で、エルトゥールル号が岩礁に衝突し、
沈没してしたったのです。
この事故によって、ほとんどの乗員は 海へ投げ出され 
500名を超える死亡者と 行方不明者が出ました。
 この時 和歌山県の串本町の近隣で村民が協力し、捜索や救助・介抱を
行っています。結果として 587名の命が犠牲になりましたが、
69名は無事に救助することが出来たのです。
 沿岸には 大勢の遺体が打ち上げられました。その中に紛れた生存者を
みつけては、息絶えないよう自らの体温で温める人もいたのです。
亡くなってしまった乗員は、村民たちによって 手厚く葬られ、
生存者には、心づくしの介護が続けられました。
 オスマン帝国(現トルコ)は、この時の日本人による救助活動に
大きな感銘を受けた と、言われています。

後日 この事件を聞いた 日本政府は、生存者を東京へ移送し、
医療機関での治療を行って、全員が快方に向かいました。
最終的には、生存者 全員を日本政府が、
故郷まで送り届けています。

(今回の地震での被害)
今、トルコの人たちは大変困っていると、思います。
東日本大震災(2011年3月11日)の死者数は、15,900人ですから、
今回のトルコ地震の被害(2月15日付 死者数 41,000人)がいかに
大変な状況か、想像するに 簡単と思います。
 今までに、何回もトルコの人たちに助けてもらっている日本人
としては、「何か出来る事はないか?」と、思うのは、
私ダケではないでしょう。

投稿者プロフィール

坂本組 広報担当
坂本組 広報担当
株式会社坂本組の広報担当です。
私たちの強みは地域密着であり、伊勢原市を中心に地域の皆様とのつながりを大切にしています。
お仕事に関することから、地元のニュースや食べ物など日常のことまで、幅広く発信をしています。
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