注文住宅を建てるなら土地と施工会社どっちから先に決めるといい？

注文住宅を土地探しから検討するとき、「土地を購入してから施工会社を選ぶ人」もいれば、「施工会社を決めてから土地を探す人」もいらっしゃいます。
どちらとも正しい方法ではありますが、リスクの観点からみると「先に土地を決めると失敗しやすい」と、よくいわれます。

土地を先に購入すると、なぜ失敗しやすいのでしょうか。
逆に、施工会社を先に決めた方が良い理由とは何でしょうか。
理想の注文住宅づくりをスムーズに進める方法について、ここで考えてみましょう。

それぞれのメリット・デメリットを把握する

一般的な家づくりの流れから考えると、まず土地を購入しなければ、その上に家を建てられないため、「土地を購入するのが先だ」と思いがちです。
しかし、家を建てるには、その前に施工会社を決めなければなりません。
土地を購入してから施工会社を探し始めると完成時期が遅れますし、そもそも購入した土地に理想の注文住宅を建てられるかもわからないでしょう。

土地を先に決めるにも、施工会社を先に決めるにも、一長一短ありますので、それぞれのメリットとデメリットを把握するところから考えてみます。

土地を先に決めるメリット・デメリット

土地を先に決めるメリットの一つが、「理想の場所に家を建てられること」です。
たとえば、間もなく小学校に入学するお子さんがいる方であれば、学校に近い土地を先に決めた方が安心でしょう。
通勤のことを考えて、駅や勤務先に近い土地を選ぶ方もいらっしゃいます。
立地を優先したい方であれば、先に土地を購入した方が家づくりを安心して進めやすいのです。

また、施工会社を選んでいる間に「ほかの人に購入されるのを防げる」というリスク回避にもつながります。

一方、デメリットを考えると「希望の家が建てられないことがある」という点が挙げられます。
土地を先に決めると、その土地の建築規制や条例などに沿った家づくりしかできません。
場合によっては、土地に予算を使い過ぎて建物にかける費用が足りないといった「予算オーバーになる可能性」もあります。
実際、購入した土地に地盤改良が必要だと後でわかり、別途多額の費用がかかって予算オーバーするというケースもあるのです。

施工会社を先に決めるメリット・デメリット

施工会社を先に決めるメリットは、建築費用を考慮しながら建てるため「予算オーバーがしにくい」という点があります。
施工会社と話し合いながら、あらかじめ土地と建物の予算を設定することにより、予算内で理想の家を建てられます。
なお、施工会社の中には理想のマイホームに適した土地を一緒に探したり、自社物件などから提案してくれたりするところもあります。

また、土地が決まればすぐにでも着工できるケースもありますから、「家づくりにかかる期間が短くなる」こともメリットといえるでしょう。

逆にデメリットは、「希望する土地に住めない可能性がある」こと。
好条件の土地を見つけても、施工会社を探している間に他者に買われてしまう可能性もあります。
そうなると、同じような好条件の土地探しに時間を要してしまい、「家づくりがなかなか進まない」といったケースも考えられるでしょう。

土地と施工会社のどちらを先に決めると失敗しにくいのか？

先に土地を購入するにも、施工会社を決めるにも、それぞれにメリットとデメリットがあります。

ここで大切なのが、「デメリットはどちらがカバーしやすいか」という観点から検討することです。
理想のマイホームに近づけるには、メリットを最大限に享受することはもちろん、デメリットをできるだけ克服することも、家づくりの失敗を回避しやすくなります。

施工会社を先に決めるデメリットを克服するには

施工会社を先に決めるデメリットを見ると、「希望する土地に住めない可能性がある」「家づくりがなかなか進まない」といった課題が挙げられます。

好立地の物件はすぐに売れるため、早めに確保しておきたいという気持ちもわかりますが、その土地に理想の家が建てられるかがわからないと、無駄な買い物をしてしまうリスクもあります。
それに、そこまで土地に強くこだわっている方なら、建売住宅でも理想の家が見つかるかもしれません。

不動産部門を有すなど土地探しもサポートしてくれる施工会社に依頼して、希望にマッチする物件を一緒に探してもらうことができれば、「その土地ならどんな家が建てられるか」といったアドバイスをもらえるでしょうし、土地探しにかかる時間の短縮も期待できます。

土地を先に決めるデメリットを克服するには

土地を先に決めるデメリットをみると、「希望の家が建てられないことがある」「予算オーバーになる可能性」といった課題が想定されます。

そもそも、注文住宅を建てたい方は、家に対するこだわりが強い方でしょう。
何も知らずに土地を決めてしまうと、規制や条例によって実現できないこだわりが出てくるかもしれません。

予算に関しては、注文住宅においてとても重要な項目です。
注文住宅の建築費はピンキリで、施工会社に見積もりを取らなければわかりません。
建築費がわからないのに土地を先に購入すると、予算オーバーになる可能性が高まります。
予算を増やせなければ、オーバーした分を、建物のこだわりや希望から削っていくことになり、理想の家から遠ざかってしまうでしょう。

このように、注文住宅において土地を先に決めてしまうと、後でリカバリーしにくい課題が残りやすいのです。
そのため、施工会社を先に決めたほうが、家づくりの失敗を防ぎやすいといえます。

施工会社を先に決めるのが良い理由

施工会社を先に決めたほうが良い理由について、改めて説明しましょう

予算オーバーを防げる

先ほどもお伝えしたように、注文住宅の建築費は施主の希望やライフスタイルなど、さまざまな要因によって大きく変わります。
自分たちが住みたい家の建築費は、施工会社に見積もりを依頼しなければわからないのです。
施工会社を先に決めて、希望する土地の図面などを元に見積もりを依頼すれば、概算の建築費がわかりますから予算オーバーを防ぎやすくなります。

また、家づくりの予算は土地代と建築費だけでなく、諸費用についても検討しなければなりません。
たとえば、土地の地盤が軟弱な場合には地盤改良の費用が必要ですし、擁壁や上下水道の整備などが必要になる土地もあります。
こうした建築以外にかかる費用もプロの目線から確認してもらうことにより、諸費用を含めた全体の予算を把握しやすくなります。

家づくりのアドバイスをもらいながら土地探しができる

施工会社の中には、一緒に土地を探してくれたり、自社物件の土地を紹介してくれたりするところもあります。

家づくりに関する要望を伝えた上で建築担当者と一緒に土地探しを行えば、「この土地ならこんな家が建てられる」といったアイデアや、「地盤改良が必要だからコストがこれくらい多くかかる」などのアドバイスも受けられ、素人にはわからない理想の土地探しができるでしょう。

不動産部門を持つ施工会社であれば、取引先から土地を紹介してもらうこともできますから、理想の物件に出会えるチャンスが高まります。

希望の家に近づけられる

施工会社の担当者は、家づくりのプロとして、さまざまな観点から土地を見極めています。

建ぺい率や容積率といった法規制はもちろん、日当たりや風通し、道路との高低差や雨水の流れ、敷地の方角から想定される間取り配置なども、土地を見ただけでわかるケースもあるのです。

こうした視点から土地探しや家づくりを行えば、理想に近い注文住宅を手に入れやすくなるでしょう。

ローン費用を抑えられる

つなぎ融資などのローンを利用して土地を購入される方も、施工会社を先に決めておいた方が得策です。

土地を先に購入すると、施工会社が決まるまでの間も利息分の返済が生じるため、返済額が高くなる可能性があります。
とりわけ、つなぎ融資は無担保ローンですから、一般的な住宅ローンより金利が高く設定されており、金利負担が重くなりやすいので注意が必要です。

施工会社を先に決めておけば、土地を購入したらすぐに着工できるケースもありますから、金利負担を最小限に抑えられます。

建築条件付きの土地を購入できる場合がある

理想の土地を見つけたものの、「建築条件付きの土地」のため、あきらめた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

建築条件付きの土地とは、原則として、その土地を管理する不動産会社や施工会社で家を建てることが決まっている物件のことです。
つまり、建築条件付きの土地を先に購入すると、施工会社が自由に選べなくなります。

ただし、交渉次第では別の施工会社で家を建てることも可能です。
たとえば、建築を依頼したい施工会社に、希望する建築条件付きの土地を見せて「ここで家を建てられるのであれば、御社と契約したい」と交渉すれば、施工会社はその土地の管理者と折衝し、建築条件を解除してくれることもあるのです。

土地の価格がアップすることもありますが、理想の土地で理想の家を建てるためには、交渉してみるのも一手でしょう。

まとめ

注文住宅を検討している方であれば、家づくりへのこだわりは人一倍強いはずです。
先に土地を購入してしまうと、法規制や予算などの問題で、あきらめなければならないこだわりが出てくる可能性が高くなります。

一つでも多くのこだわりを実現するには、先に施工会社を決めた方が有利といえます。
施工会社の担当者と一緒に、希望する土地を見ながらアイデアやアドバイスをもらうことで、予算を含めてどんな家を実現できるかイメージしやすくなるでしょう。

注文住宅を建てたいと決めたら、まずは目星をつけている施工会社に相談されることをおすすめします。